前の日記に書いたハローワーク。
とりあえず応募だけしてみた。
12日面接らしいよ。
一体何を話せばいいのか知らん…。
「中西なしじゃ、俺は息もできない……っ」
ただ一度だけ、三上が口にしたその言葉。
三上は、覚えてないかもしれないけれど。
護りたいって思った。
一生をかけて幸せにしたいって、
そのとき俺は思ったんだ。
ねぇ三上、
俺だって三上なしじゃ生きていけないよ。
さよならとありがとう 四
中西へ。
太陽が近い。
今年の夏はいつもより暑くて、そのぶん太陽が大きく見える。
雪なんて、きっとここにあったらあっという間に溶けちまうよ。
手紙は、ちゃんととってある。
おまえが送ってきたやつも、俺が書いた宛先不明の返事も、
両方とも机のひきだしん中にちゃんとしまってあるぜ。
捨てられるわけ、ねぇじゃん。
おまえが手紙くれるなんて、初めてだったんだからさ。
中西の、整った字。
まるで機械で打ったみたいでさ、俺は正直その生気の無さに怯えてたことがあるよ。
だけどその文字が、今はこんなにも愛しいと思う。
中西が俺を思って書いてくれたんだって思ったら、綺麗な字が歪んで見えなくなった。
泣かないって、約束したよな。
俺には守れなかった。
手紙受け取って、俺はますます涙腺が緩くなった気がする。
中西に気づいてもらいたくて、俺の心は今も悲鳴を上げてるんだ。
あの夜、雪を見ながらおまえ言ったよな。
俺のこと誰にも見せたくないって。
あの時は反したけど、ほんとは凄く嬉しかったんだ。
中西の言葉につながれていたいって思った。
同時に俺も中西を俺だけのものにしたいって思ったんだぜ。
言えなかったけど、確かにあの時俺たちは魂を重ねてたんだと思う。
つないだ手に救われてたのは、俺も同じだ。
中西の冷たい掌は、いつだって俺を落ち着かせてくれてたよ。
冷たい手に触れるたびに、ああ、中西だって錯覚するようになった。
だけど違うんだ。
どんなにおまえの手に近くても、それは俺が欲しい中西の手じゃない。
怖かった。
俺を救ってくれる、中西の手。
もう二度と差し伸べられないのかと思うと、
お前に逢う前までだってそうだったのにすげぇ怖かった。
中西がこんなに俺の中で大きな存在になってたこと、
俺はおまえがいなくなって始めて実感したんだ。
中西、帰ってきてくれよ。
もう一度、抱き締めて欲しい。
もう一度声を聞かせて欲しい。
俺にとって中西は本当に大切な存在だから、
俺が生きていくために必要な存在だから、
たとえ触れられなくても、
せめて俺の視界野中にいて欲しいんだ。
太陽の賛美歌が熱い。
なのに心はおまえを失って冷え切ったままだ。
おまえが俺を嫌いになったんじゃないなら、帰ってこいよ。
いつだって俺はおまえだけを待ってるから。
おまえ以外、俺は望んでなんかいねぇから。
壊されてもいい。
閉じ込められたって構わねぇよ。
中西の傍にいたいんだ。
それだけなんだよ。
三上。