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空気であり水である大切な音楽たちに触発され、物書きリハビリ中
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sacraの活動休止前ライブにいけて大満足な霞です。
sacraのライブはいつもいっぱい泣くのだけれど、
それはあまりにも前向きすぎる嬉し泣きばかりで、
だけどこういうタイミングだったからか、
「泣いてるけど解散じゃないからね」ってステージから言われて、
ちゃんと言葉にしてくれてうれしすぎた。
「最初からずっと泣いてるから、切なくなる」なんて言ってくれて、
ライブ後に挨拶に行ったら「だいじょうぶ?」って心配してくれて、
また逢いに来るから逢いにきてって言ったら、
わかった、って。
絶対、って。
そう約束してくれて涙でそうだった。

今度逢える日まで、がんばれそうです。



さて。
旧サイトお礼SS第二話。



「中西の手、好きだ」

そう言って触れてくる、三上の手。
薬指のリングが、光を反射する。

束縛したいって、思ってた。
誰にも見せたくないって、思ってた。

醜いぐらい俺は嫉妬深くて、
なりふり構わず、
三上を奪って逃げてしまいたかった。

だけど、できなかった。
嫌われるのが、
俺はいつだって怖かったんだ。

さよならとありがとう 二


中西へ。

手紙読んだ。
おまえさ、消印で大体の場所割り出せるの知らねぇの?
まあ大体の場所わかっても送り返せないんだけどさ。
どうせもうそこにはいないんだろうし?

今年の桜はもう散った。
雨が多かったからな。咲いたと思ったらあっという間に消えてったんだ。
中西とも、雨の日に散る桜、見たことあったよな。
桜の下の死体、そんな話もしたっけな。
あれ、乗り気だたのはおまえだからな。俺はやんねぇっつったのに無理矢理付き合わせやがって。
でも、いい思い出だ。

おまえが思ってるよりもずっと俺はいろんなこと覚えてるぜ。
だけどそれっていつのこと?
最初中西俺のこと嫌ってたろ。俺もそうだけどさ。
桜の樹の下でお前に初めて逢ったのがいつだったか、俺はもう覚えてない。
だけど逢ったことと、そん時の中西の眼は、今も鮮明に覚えてる。
あれは、俺にとっても忘れられない一瞬だったから。

中西が消えた日、俺は単なる夜遊びだと思ってた。
次の日もその次の日も帰ってこないおまえに、不安を抱いた。
なくなってたライターと指環に、俺は怯えてた。
根岸が教えてくれたよ、おまえは帰ってなんかこないって。

約束、俺は守れなかった。
独りで、夜中に泣いたよ。

泣いたら、帰ってきてくれるような気がした。
いつだっておまえは当然のように俺の涙を拭ってくれたから。
でも、おまえは帰ってなんかこなかった。

おまえが置いてったライターと指環。
さよならを言われてる実感は沸かなかったけど、もう逢えないんだって自覚したのはその時だ。
俺も、夢だったように思う。
中西の存在自体、おれの夢の中にしかいない気がして。
置き去りにされたライターと指環がまるで俺自身みたいで、ようやくそれが俺を現実につないでいたんだ。

指環は、今も俺の指にはまってる。
ライターは石が切れてもオイルが切れても、しつこく使ってる。

なあ中西、おまえに届ける術なんてないけど、
だけど届けたい言葉があるんだ。
いつか帰ってきたら、絶対言おうと思ってた。
中西に、いつか絶対伝えるって決めてた。

俺は、今もまだ中西が好きだから。
他の誰でも意味がないから。
中西がいれば、
中西が笑ってれば、
俺はそれだけでいい。

中西、
俺はおまえに逢いたい。
声が聴きたい。
もうあの頃には戻れなくても、中西が眼の届くところにいてくれるだけで、俺はきっと強くなれる。

手紙、待ってる。
返せない返事は、渡せる日まで保管しておくから。
だから中西。
いつか笑いながら「ただいま」って帰ってきてくれよ…。

三上。

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