空気であり水である大切な音楽たちに触発され、物書きリハビリ中
『しゅうちしんおだいばさつじんじけん』の再放送を見ているのだけれど、
こんなシーンあったかしら?っていうのがちらほらあって、
あれ?って首を傾げています、霞氷華です。
サイト閉鎖しましたが、
霞のブログは続きます。
何故ならここはリハビリの場だから。
自分は文章書いてないとだめになるのです。
霞から想像と創造を取り上げたら、
一体何が残るんだ?
ってくらいに何かを綴り描くことは生きる意味です。
の、割に放置で申し訳ないんですけど(笑)
ミクシの方は日々更新していますので、
こんな人間の日常が知りたい方は探してみてください(笑)
この一年半でたくさんのことがありすぎて、
莫迦みたいに泣き続けたのですが、
そして今日も嫌な夢を見て泣いたんですが、
でもやっぱり自分にはsacraの音があるので、
今はPlastic Treeもいるので、
なんとかやっていけそうです。
今後はここも少しずつ更新していく予定です。
物語、綴っていくから。
こんなシーンあったかしら?っていうのがちらほらあって、
あれ?って首を傾げています、霞氷華です。
サイト閉鎖しましたが、
霞のブログは続きます。
何故ならここはリハビリの場だから。
自分は文章書いてないとだめになるのです。
霞から想像と創造を取り上げたら、
一体何が残るんだ?
ってくらいに何かを綴り描くことは生きる意味です。
の、割に放置で申し訳ないんですけど(笑)
ミクシの方は日々更新していますので、
こんな人間の日常が知りたい方は探してみてください(笑)
この一年半でたくさんのことがありすぎて、
莫迦みたいに泣き続けたのですが、
そして今日も嫌な夢を見て泣いたんですが、
でもやっぱり自分にはsacraの音があるので、
今はPlastic Treeもいるので、
なんとかやっていけそうです。
今後はここも少しずつ更新していく予定です。
物語、綴っていくから。
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口接けた三上の唇は震えていて、零れ落ちた涙に、中西まで泣きたくなった。
愛しさで涙が出るなんて、それまで、知らなかった。
**re-play sideN **
大学3年の冬ともなると、早い人は就職先が決まってしまう。
三上もその一人だった。
高校でサッカーをやめ、父との約束だという弁護士を目指した三上は、司法試験の前に法律関係の会社への就職を決めた。入る会社で親ともめたらしいが、それを中西が知ったのは共通の知人からだった。
けれど中西も三上に自分がどこへ行くのかも、そのことで家の中が騒がしかったことも言わなかったので、お互い様だ。
久しぶりに食事をし、同じベッドで眠り、それだけで二人の間の秘密はとろとろと溶け出して、そこにある熱だけで十分な気になる。
こんな風に話したくなったら話すだろうとそれぞれに結論付けて、仕舞い込んだままのものが考えてみればたくさんあった。
腕の中であの頃から変わらない安らいだ表情で眠る三上の髪に指をくぐらせる。しっとりと柔らかな髪は指の隙間をすり抜け、その感触が心地良かった。
「……ん、なに?」
「ああ。ごめんね。起こした?」
優しい声で問う。
三上は身動ぎ、そのまま中西に擦り寄った。ひどく甘えた仕種だった。
「三上? 眠いの?」
当たり前のことを聴いてしまったのは、それがあまりにも可愛かったからか、それともこんな仕種を久しく見ていなかったからだろうか。
「いま、なんじ」
「四時前」
「おきんの、はやい」
目を擦って呟く言葉はゆっくりで、その眠たげな姿が愛しいと思った。
決めたのは自分なのに、この手を放すことを躊躇うのは、本当はずっと傍にいて、同じ未来を歩きたいからだ。
「三上、あのね」
けれど、ずっとこのまま黙って手を繋いでいるわけにはいかないのだ。
「なかにし?」
何かを感じ取ったのか、不安そうに三上が名前を呼ぶ。
中西は微笑んで、もう一度その髪を梳いた。
「俺ね、三上。ドイツに行くことにしたから」
「……ドイツ?」
「そう、ドイツ」
繰り返す言葉に三上は惑うように瞳を揺らした。
頭の働いていない今の状態の三上に話を切り出すのはずるいとわかっていた。けれど本音を聴けるのも今のタイミングで、矛盾しているな、と自嘲する。
「なんで、いきなりドイツ?」
問う声が掠れ、それを恥じるように三上は眉を寄せる。
中西はサイドテーブルから煙草を取り、火を点けた。煙を逃がすためにすぐ左手の窓を細く開ける。
「俺の家が色々手広くやってるの、知ってるよね?」
「ああ」
「支店の一つがドイツにある。それに、前に行ったと思うけど、俺の生まれた街は向こうにあるから」
事業展開をするのに、自分は最適の人物だったのだろう。
本家へ引き取られた時から自分が駒の一つに過ぎないと認識していた中西には、それでも故郷へ帰れるのならそれもいいかと、そう思えた。
ただ、三上を残していくことだけが、怖かった。
だからといって別れを選ぶ自分は単純なのかも知れない。けれど、三上の幸せを願う故でもあった。
指先で、三上の頬を撫でる。
「だから」
冷静を装って。
今までの恋愛ごっこのように、何でもないことと、思い込んで。
三上の瞳がぐにゃりと歪むのを、見なかったことにして。
「今日で、三上とはさよならだよ」
声は、震えなかっただろうか。
言い切って、初めにそう思う。
ここで自分が震えたりしたら、三上は決してこの手を放せないだろうから。
「ドイツのここと、俺らのことが、なんでイコールなんだよ」
力ない問いかけに、中西は深く笑んだ。
「惜しんでくれるの? 俺のこと」
「…………」
黙り込んで眉間に皺を寄せた三上の髪を撫でる。月の光が艶やかな髪の上を滑って、しゃらしゃらと音を立てた。
「三上、わかってるでしょ?」
「中西」
「ずっと一緒、なんて御伽噺だよ。特に俺たちみたいなのには問題が多すぎる」
痛みを帯びた瞳に、優しく語りかける。
「俺は三上の隣を望んで、三上は俺の隣を望んでくれた。この一時、俺の腕を選んでくれた。それだけで、十分だよ」
だからもう、この手を放さなくちゃ。
「俺はもう、中西のこの手を、望んじゃいけねぇのかよ?」
「ごめんね」
これから先、三上を護ってやる余裕なんか、自分にはないから。
きっと三上も自分も傷つけて、だめにしてしまうから。
「想ってくれて、ありがとう」
指先で頬を撫で、唇を撫でる。
何度も言葉を躊躇う三上に、甘やかに口接けた。
震える手が、縋るように中西の腕を掴む。
「三上」
抱きしめたい衝動を押さえ込んで、愛し名を呼ぶ。
額を触れ合わせ、逃げようとする瞳を捉えた。
「幸せにしてあげられなくて、ごめんね?」
「中西」
「三上からたくさんのものをもらったのに、俺は三上を泣かせてばっかだったから。ほんとは笑わせてあげたかったんだけどね、何も、返してあげられない」
「……んなこと、ねぇよ」
「三上」
「俺は、中西がここに、俺の横にいれば、幸せだ」
だから、と強く望む声に、微笑んで首を振る。
声を立てずに泣き出した三上のその綺麗な雫が、中西の見た三上の、最後の記憶だった。
愛しさで涙が出るなんて、それまで、知らなかった。
**re-play sideN **
大学3年の冬ともなると、早い人は就職先が決まってしまう。
三上もその一人だった。
高校でサッカーをやめ、父との約束だという弁護士を目指した三上は、司法試験の前に法律関係の会社への就職を決めた。入る会社で親ともめたらしいが、それを中西が知ったのは共通の知人からだった。
けれど中西も三上に自分がどこへ行くのかも、そのことで家の中が騒がしかったことも言わなかったので、お互い様だ。
久しぶりに食事をし、同じベッドで眠り、それだけで二人の間の秘密はとろとろと溶け出して、そこにある熱だけで十分な気になる。
こんな風に話したくなったら話すだろうとそれぞれに結論付けて、仕舞い込んだままのものが考えてみればたくさんあった。
腕の中であの頃から変わらない安らいだ表情で眠る三上の髪に指をくぐらせる。しっとりと柔らかな髪は指の隙間をすり抜け、その感触が心地良かった。
「……ん、なに?」
「ああ。ごめんね。起こした?」
優しい声で問う。
三上は身動ぎ、そのまま中西に擦り寄った。ひどく甘えた仕種だった。
「三上? 眠いの?」
当たり前のことを聴いてしまったのは、それがあまりにも可愛かったからか、それともこんな仕種を久しく見ていなかったからだろうか。
「いま、なんじ」
「四時前」
「おきんの、はやい」
目を擦って呟く言葉はゆっくりで、その眠たげな姿が愛しいと思った。
決めたのは自分なのに、この手を放すことを躊躇うのは、本当はずっと傍にいて、同じ未来を歩きたいからだ。
「三上、あのね」
けれど、ずっとこのまま黙って手を繋いでいるわけにはいかないのだ。
「なかにし?」
何かを感じ取ったのか、不安そうに三上が名前を呼ぶ。
中西は微笑んで、もう一度その髪を梳いた。
「俺ね、三上。ドイツに行くことにしたから」
「……ドイツ?」
「そう、ドイツ」
繰り返す言葉に三上は惑うように瞳を揺らした。
頭の働いていない今の状態の三上に話を切り出すのはずるいとわかっていた。けれど本音を聴けるのも今のタイミングで、矛盾しているな、と自嘲する。
「なんで、いきなりドイツ?」
問う声が掠れ、それを恥じるように三上は眉を寄せる。
中西はサイドテーブルから煙草を取り、火を点けた。煙を逃がすためにすぐ左手の窓を細く開ける。
「俺の家が色々手広くやってるの、知ってるよね?」
「ああ」
「支店の一つがドイツにある。それに、前に行ったと思うけど、俺の生まれた街は向こうにあるから」
事業展開をするのに、自分は最適の人物だったのだろう。
本家へ引き取られた時から自分が駒の一つに過ぎないと認識していた中西には、それでも故郷へ帰れるのならそれもいいかと、そう思えた。
ただ、三上を残していくことだけが、怖かった。
だからといって別れを選ぶ自分は単純なのかも知れない。けれど、三上の幸せを願う故でもあった。
指先で、三上の頬を撫でる。
「だから」
冷静を装って。
今までの恋愛ごっこのように、何でもないことと、思い込んで。
三上の瞳がぐにゃりと歪むのを、見なかったことにして。
「今日で、三上とはさよならだよ」
声は、震えなかっただろうか。
言い切って、初めにそう思う。
ここで自分が震えたりしたら、三上は決してこの手を放せないだろうから。
「ドイツのここと、俺らのことが、なんでイコールなんだよ」
力ない問いかけに、中西は深く笑んだ。
「惜しんでくれるの? 俺のこと」
「…………」
黙り込んで眉間に皺を寄せた三上の髪を撫でる。月の光が艶やかな髪の上を滑って、しゃらしゃらと音を立てた。
「三上、わかってるでしょ?」
「中西」
「ずっと一緒、なんて御伽噺だよ。特に俺たちみたいなのには問題が多すぎる」
痛みを帯びた瞳に、優しく語りかける。
「俺は三上の隣を望んで、三上は俺の隣を望んでくれた。この一時、俺の腕を選んでくれた。それだけで、十分だよ」
だからもう、この手を放さなくちゃ。
「俺はもう、中西のこの手を、望んじゃいけねぇのかよ?」
「ごめんね」
これから先、三上を護ってやる余裕なんか、自分にはないから。
きっと三上も自分も傷つけて、だめにしてしまうから。
「想ってくれて、ありがとう」
指先で頬を撫で、唇を撫でる。
何度も言葉を躊躇う三上に、甘やかに口接けた。
震える手が、縋るように中西の腕を掴む。
「三上」
抱きしめたい衝動を押さえ込んで、愛し名を呼ぶ。
額を触れ合わせ、逃げようとする瞳を捉えた。
「幸せにしてあげられなくて、ごめんね?」
「中西」
「三上からたくさんのものをもらったのに、俺は三上を泣かせてばっかだったから。ほんとは笑わせてあげたかったんだけどね、何も、返してあげられない」
「……んなこと、ねぇよ」
「三上」
「俺は、中西がここに、俺の横にいれば、幸せだ」
だから、と強く望む声に、微笑んで首を振る。
声を立てずに泣き出した三上のその綺麗な雫が、中西の見た三上の、最後の記憶だった。
なんだか定義が酷く曖昧で、
気を抜けば足許から融けてしまいそう。
名を呼んで、
名を告げて、
確かなものだと思わせて。
ここにあるすべてが錯覚ではないのだと。
現実感のない世界に生きる、
現実感のない僕が、
幻なんかじゃないのだと。
(存在)
気を抜けば足許から融けてしまいそう。
名を呼んで、
名を告げて、
確かなものだと思わせて。
ここにあるすべてが錯覚ではないのだと。
現実感のない世界に生きる、
現実感のない僕が、
幻なんかじゃないのだと。
(存在)